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2012年02月06日

野球界の今日の情報が入りますよー。

【PODCAST最新号】週末の練習試合と飲み会を肴に無駄話 [聴いてみる]

[サッカー]

アフリカ最南端からブブゼラの音に乗せて

岩間翔吾 = 文
text by IWAMA Shougo

野球

W杯が開幕した。日本代表の戦いぶりや、各国リーグで活躍するスターの華やかなプレーに注目が集まるが、せっかくのアフリカ大陸での開催、これを機に南アフリカで繰り広げられた人種差別の歴史とスポーツの役割に目を向けてみたい。

南アフリカは、20世紀後半まで差別的なアパルトヘイト、つまり人種差別政策を法制化し実施していた国である。少数派の白人たちがあらゆる場面を支配していて、黒人やカラードと呼ばれた混血の権利は限られていた。しかし、支配と迫害に対する反アパルトヘイト運動が広がり、1991年には各関連法は廃止、そして94年の全人種による総選挙では運動の指導者だったネルソン・マンデラが大統領に選ばれた。
反アパルトヘイト運動の中で「スポーツ」が大きな後押しとなっていたことも見逃せない。実は他のアフリカ諸国が、南アフリカチームが出場する大会へのボイコットを表明することで、競技団体に圧力をかけたという歴史があるのだ。国際社会の批判を無視して人種隔離政策を続けることに抗議の意思を込めたと言えるだろう。結果的に南アフリカはオリンピックを含むほとんどの国際大会に出場できなくなり、白人支配層は国際社会からの孤立を自覚させられることとなる。

話は変わるが、この春に日本で公開された「インビクタス(Invictus)」というアメリカ映画をご存じだろうか?
これが実に興味深かった。マンデラ大統領就任直後に南アフリカで行われたラグビーのW杯をモチーフとした映画なのだ。
南アフリカでは、ラグビーは白人のスポーツ、サッカーは黒人のスポーツというのが双方の共通の認識だった。まだ相互不信が根強く残っていた白人と黒人を、このW杯をきっかけに一つにまとめようとマンデラ大統領は奔走する。
大会は白人を中心とする南アフリカ代表が強豪ニュージーランドを下して優勝した。マンデラ大統領は、それまで黒人の憎悪の対象だった自国代表ユニフォームを着て表彰式に臨み、双方から喝采を浴びた。結果、南アフリカは様々な人種や民族が共存する「虹の国」として再出発をすることが出来た、というストーリー。
この映画で繰り広げられる経緯はほとんどが事実に基づいている。スポーツと政治が深く結び付き成功を収めたドキュメンタリー映画なのだ。
映画のモチーフになるほど、この国とマンデラ大統領は、平等の旗手として存在していたし、アフリカと世界の期待を一身に受けていた。

マンデラ政権誕生から16年、南アフリカは世界が注目する新興産業国となった。豊富な地下資源・民間活力に支えられ堅実な経済成長を遂げた。しかし負の側面として、「持つ者」と「持たざる者」の差が広がってしまい、治安は世界最悪レベルになってしまった。この点は運営に大きな疑問点を投げかけている。殺人、強盗、性犯罪は多発しているし、周辺国から流れ込む不法移民と住民との摩擦も大きい。

大会開始前に死者を出す銃撃戦があった。各国記者団は強盗に悩まされ、ギリシャ代表では盗難事件まで起こった。
また、直前のアフリカネーションズカップアンゴラ大会ではトーゴ代表が襲撃されるという忌まわしい事件が起こったし、その前のガーナ大会ではメディア施設は満足に機能していなかったと聞く。CAF(アフリカサッカー連盟)の汚職・腐敗といったスポーツの魅力を削ぐ要素がアフリカサッカー界に蔓延しているのは事実だ。

とはいえ不安と期待の度合いを比較すれば、圧倒的に後者が勝っているのもまた事実。
今回のW杯は、今まで以上にFIFAが大会運営に関わっている。FIFAはCAFより秩序に溢れ統制が取れているため、正当に運営されるという希望に賭けたい。
オリンピック以上の祭典と言われるW杯。世界の目が南アフリカに向く。我々は南アフリカを通してアフリカ大陸の現状を認識しようとする。この大会が平和と平等のシンボルになることがアフリカ大陸の総意ではなかろうか。

南北問題、果ては南南問題の縮図すら透けて見えてしまうこの大陸の自尊心が高まるような大会になることを期待したい。

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